【日本アルプス全縦走の旅 ~4日目】やっとの思いで登山口に到着

スタートから約80km、3日目の9月4日18時10分ごろ、登山口すぐ近くの白樺荘に到着。

 

ここまでの3日間、1泊目は安倍川河畔の空き地でキャンプ、2泊目は山道沿いの空き地でキャンプと汗だくの体を洗えずにいたので、ここ白樺荘でのお風呂をめちゃくちゃ楽しみにしていました。

 

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(道中の里の風景)

 

3日目にして初のお風呂です。

 

私にとってこの日は風呂のためだけにありました。風呂に入りたいというその一心で歩いていたのです。地図上で白樺荘の温泉マークを見つけていたからこそ、ここまでの80kmを歩くことができたのです…。

 

 

が、しかし!営業時間は18時まで。10分遅れだ。

でもまだ灯りはついているしドアも開く。どうしても風呂に入りたい。

スタートから3日間、炎天下のなか汗にまみれて歩き続けた身体を休めたい…!

 

汗まみれの汚れた格好のままでは、スタッフさんの気を損ねて“入浴拒否”なんてことにもなりかねない...。そうなっては一大事、はやる気持ちを抑え新しいTシャツとパンツに着替えてから店内へ。

これでもかと腰を低くして入浴したい旨を伝える。

 

しかし、断られる。(無下に)

 

あまりに悔しかったので「明日の朝一番に風呂に入ってやる!」と決意。

近くにテントを張り、翌朝開店と同時に入浴。

 

なんて気持ちいいんだろう。露天風呂からの眺めも素晴らしい。お腹一杯ご飯を食べ、昼過ぎまでゆっくり休む。

畳の居心地の良い休憩スペースがあるので、登山前後の入浴や食事にとってもおすすめの最高な施設です。

 

この休憩スペースで、後にお世話になる千枚小屋のお姉さんと出会いました。縁とは不思議なものです。13時ごろ店を発ち登山口へと再出発。

 

1時間半ほどで畑薙ダム大吊橋に到着、橋の手前でテントを設営。

 

この長い吊橋を渡ればついに南アルプスだ。ダムにまたがる吊橋の真ん中に寝そべり、吹き上げる谷風を感じながら空を見る。冷たい風が心地良い。

 

ここまでずっと舗装路を歩いてきたが、ついに明日土を踏むことができるのだ。自然の中に入っていくのだ。そう考えただけで思わず頬が緩むのでした。

【日本アルプス全縦走の旅】旅の始まり ~登山口までの長い道のり~

2014年9月2日午前10時過ぎ、突き抜けるような夏の青空のもと私の旅はスタートしました。

この旅の目的は

「太平洋から日本海まで自分の足で歩く。」

「大好きな山に登る。」

それだけのとてもシンプルな旅です。

 

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スタート地は静岡県用宗の海岸。

富士山を横目に海に足を浸し、歩き始めました。

目的地は日本海側、北アルプスの山々を越えた先の「親不知海岸」。

海抜ゼロから海抜ゼロへの旅の始まりです。

 

 

ろくに下調べもしていなかった私はいきなり巨大な壁にぶち当たりました。

それは南アルプス登山口まで80kmの舗装路歩き。

山道なら何kmでも気持ちよく歩けますが、アスファルトはきつい!今思い返してもこの区間が一番つらかった。

 

当然一日では歩けないので道中適当な場所でテント泊しながらの旅路になります。

 

安倍川沿いの安倍街道をずんずん北へ。登山口となる畑薙ダムを目指します。

 

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海岸から歩き続けること数時間。次第に民家が少なくなり山が近づくと、自然と高揚感が湧いてくるもので、「いよいよだ」というワクワク感でザックの重みも忘れて歩いていました。

 

...嘘です。重いザックが肩にぐいぐい食い込んで痛いのなんの。数百m歩いては立ち止まってぜえぜえ言っていました。

南アルプス縦走10日分+α食料を静岡駅近くのスーパーやドラッグストアで買い込んでいたのでザックはパンパン、結構な重さでした。)

 

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スタートからの道のりはずっと登りでなかなかくたびれるものでしたが、歩くうちにだんだんと雲が近づきいつの間にか目線の高さに見えていたり、お茶の名産地静岡ならではの美しい茶畑の風景が広がっていたり(それなのに私が飲むのは自販機のお~いお茶)、そんな小さな感動が苦しさを一瞬にして吹き飛ばしてくれるのでした。

 

 

そして何よりも力になるのが、道行く人との会話でした。

「車で送ってやろうか」と声を掛けてくれた人(断腸の思いでお断りしました)や、「お兄さん何歳よ、え、25?いいか、よく聴け、好きなことやってていいのも25くらいまでだ、兄さんギリギリだぞ!ガハハ!がんばれ!」と変な気遣いなしに思うままを言ってくれた郵便配達のおっちゃん。そんなやりとりがカロリーメイト1本分くらいのエネルギーになって足を進めてくれるのでした。

 

日本アルプス全山縦走の記録

こんにちは。

 

南アルプス中央アルプス御嶽山乗鞍岳北アルプスと、

日本アルプスの山々をひと繋ぎで縦走した際の記録をここに書いていきます。

 

2014年の夏、山を越えて日本を縦断した42日間の日記です。

 

ちらっと覗いていって頂けたら幸いです!