【日本アルプス全縦走の旅】旅の始まり ~登山口までの長い道のり~
2014年9月2日午前10時過ぎ、突き抜けるような夏の青空のもと私の旅はスタートしました。
この旅の目的は
「太平洋から日本海まで自分の足で歩く。」
「大好きな山に登る。」
それだけのとてもシンプルな旅です。
スタート地は静岡県用宗の海岸。
富士山を横目に海に足を浸し、歩き始めました。
目的地は日本海側、北アルプスの山々を越えた先の「親不知海岸」。
海抜ゼロから海抜ゼロへの旅の始まりです。
ろくに下調べもしていなかった私はいきなり巨大な壁にぶち当たりました。
それは南アルプス登山口まで80kmの舗装路歩き。
山道なら何kmでも気持ちよく歩けますが、アスファルトはきつい!今思い返してもこの区間が一番つらかった。
当然一日では歩けないので道中適当な場所でテント泊しながらの旅路になります。
安倍川沿いの安倍街道をずんずん北へ。登山口となる畑薙ダムを目指します。
海岸から歩き続けること数時間。次第に民家が少なくなり山が近づくと、自然と高揚感が湧いてくるもので、「いよいよだ」というワクワク感でザックの重みも忘れて歩いていました。
...嘘です。重いザックが肩にぐいぐい食い込んで痛いのなんの。数百m歩いては立ち止まってぜえぜえ言っていました。
(南アルプス縦走10日分+α食料を静岡駅近くのスーパーやドラッグストアで買い込んでいたのでザックはパンパン、結構な重さでした。)
スタートからの道のりはずっと登りでなかなかくたびれるものでしたが、歩くうちにだんだんと雲が近づきいつの間にか目線の高さに見えていたり、お茶の名産地静岡ならではの美しい茶畑の風景が広がっていたり(それなのに私が飲むのは自販機のお~いお茶)、そんな小さな感動が苦しさを一瞬にして吹き飛ばしてくれるのでした。
そして何よりも力になるのが、道行く人との会話でした。
「車で送ってやろうか」と声を掛けてくれた人(断腸の思いでお断りしました)や、「お兄さん何歳よ、え、25?いいか、よく聴け、好きなことやってていいのも25くらいまでだ、兄さんギリギリだぞ!ガハハ!がんばれ!」と変な気遣いなしに思うままを言ってくれた郵便配達のおっちゃん。そんなやりとりがカロリーメイト1本分くらいのエネルギーになって足を進めてくれるのでした。