【日本アルプス全縦走の旅 6日目】2014年9月7日 茶臼小屋~光岳~茶臼岳ピストン (南アルプス)

前日夕方に降り出した雨は朝になっても止まず、あいにくのお天気。

 

5時ごろに茶臼小屋テント場を出発。この日は光岳へとピストンです。

稜線上は風も強く雨が痛い。それでも、バチバチとレインウエアに打ち付ける雨の音を聞いていると妙に心が躍り、ルンルン気分のハイキング。

探検しているような感覚が気分を高揚させるのかな。

 

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歩き始めると稜線からすぐ樹林帯に。雲に包まれた深いシラビソ林は幻想的な雰囲気で、ところどころ現れるお花畑には華凜で小さな花々が。

晴れた日の稜線歩きはもちろんですが、こんな雨の森林ウォークも最高!つまり山はいつでも最高。

 

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(↑シラビソの森)

 

いつの間にか雨は止み、ゴーロの長い坂を登りきって静高平に着いたまさにそのとき!それまで辺りを厚く覆っていた雲が割れ、まぶしい太陽の光が差し込んできました。

静高平の美しい小川やトリカブトの鮮やかな紫色が日の光に輝いている。

坂を登りきったところでそんな景色に出会ったからか、なんだか「祝福」されているような気分に。

ご機嫌で光岳へと登りました。

 

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(↑光岳周辺)

 

光岳小屋に立ち寄ると、小屋のテラスでダンディなご主人がコーヒー片手に外を眺めていました。「あ、カミコウチが見えるね」と雲の間に見える山を指差すご主人。「あ、意外と近いんですね、上高地」と私。小さくうなずき、微笑むご主人。

翌日になってようやく気付いたのですがご主人が指差して言ったのは数キロ先の「上河内岳」で、私はそれを北アルプスの玄関口「上高地」と勘違いしていたのでした。あのときのご主人の優しい微笑は、そんな私の勘違いに気付いたからだったのか。

なんてダンディで優しい方だ。素敵です。

 

この時、すぐ目と鼻の先にあると勘違いした「上高地」に実際にたどり着いたのは、これから21日後のことでした。光岳から見えるわけがないですね。ははは

 

14時ごろ茶臼小屋に戻りテントでのんびりしていると、小屋のご主人から「お前日本海まで歩くんだってな。あとで声かけるから中入れよ。飯、おごってやるよ」とのお言葉。

山の人間らしいぶっきらぼうな口調でしたが、言葉や表情の端々に優しさがにじみ出ているような方でした。


小屋での食事は素晴らしいものでした。1つのテーブルを4人のスタッフさんと3人組の宿泊客と私とで囲んでの夕飯。自然が好きだという共通項を持つ者同士、あっという間に打ち解け話が弾みます。

「あの花の名前は?」「あのキノコは?食べられるの?」などなど話は尽きませんでした。温かく楽しい食事を終え満腹でテントに戻り、就寝。